もし今、世界から麻酔がなくなったら何が起こるだろうか。あまり考えたくないが、多くの生命が失われるだろう。麻酔は強い痛みを伴う手術を可能にし、世界で何億もの人を救っているからだ。だが、それほど重要な役割を果たしているにもかかわらず、麻酔がその効力を発揮するメカニズムは解明されていない。 さらに不思議なことに、神経や脳のない植物にも麻酔は効く。だとすれば、植物の研究から麻酔が効く仕組みを解明できるのではないか。そう考えた北見工業大学工学部の陽川憲准教授は、ハエトリグサやオジギソウなどを使って麻酔機構の解明に挑んでいる。 麻酔が止めるハエトリグサの動き ハエトリグサといえば代表的な食虫植物、昆虫などが止まると葉を素早く閉じて捕まえる植物として知られている。その二枚貝のような形をした葉の内側には感覚毛がある。これに虫が触れて30秒以内にもう一度触れると、0.5秒の速さで瞬時に葉を閉じて虫を閉じ込め

