農作物の栽培が天候に左右されないため、近年、次世代農業の代名詞のように呼ばれている植物工場。しかし、利益を生み出しにくいビジネスであることは、それほど伝えられていない。数多くの企業が参入する分野なのになぜ撤退・倒産が多いのか。どうすれば、深刻な人手不足や農業従事者の高齢化など多くの難問を抱える日本の農業の救世主になれるのか。ハイテク導入で世界第2位の農産物輸出国となったオランダの事情など次世代農業に詳しいフリージャーナリストの石堂徹生さんが解説する。 2つの象徴的な倒産 1980年代後半の第1次、90年代後半の第2次を経て、農水・経産両省連携の国家プロジェクトとして2009年に始まった植物工場の第3次ブームが今なお続いている。しかし、植物工場の多くは(1)コストが高い(2)栽培法・経営ノウハウが未熟(3)露地野菜との差別化ができない――の三重苦に喘(あえ)ぎ、赤字経営に陥って撤退・倒産する