日本は言わずと知れた一極集中国家である。国民の間には東京は発展の中心地という意識が根強いが、これはもはや幻想である。むしろ日本経済は東京一極集中メカニズムのために危機に陥っている現状があることを指摘したい。 日本経済の推進力であった東京経済 東京経済はかつて「産業母都市・東京」と呼ばれたように、国公立の基礎研究機関や企業の企画・研究開発部門と、新部品の開発や試作を担う中小規模の基盤産業群の結合によって、産業の「原型創出機能」を発揮し、地方へ技術移転を行う拠点であった。首都圏には大企業の本部、メインバンク、流通、広告、マーケティング等に加えて、周辺に研究開発、部品製造、材料加工、組立工場までが一大集積し、関係政府機関と民間部門が諸計画を協議・調整する「政官業」の結合体制がこれを増強した。 日本中央部における産業の原型創出機能と地方産地の経営組織力・技術応用力の結合によって経済成長が実現され、