時に激しく仲間たちを叱咤し、時におどけて見せる。 新たなキャプテン像を体現した日本守備陣の要は、 若者たちを戦う集団に変え、世界のベスト4に導いた。 その存在感で実現した、憧れのプレミアリーグ移籍。 新生吉田麻也、人生で最も濃密な夏を語る――。 この何気ない一言が、チームの危機を象徴していた。 ロンドン五輪開幕の約1週間前に行なわれたベラルーシとのテストマッチ後のことだ。オーバーエイジとして初先発した吉田麻也に、関塚隆監督がこう声をかけた。 「こんなチームだけど大丈夫?」 吉田は笑顔でうなずいたものの、とても「大丈夫です」とは口にできなかった。試合は1対0で勝利したが、チームとして組織的な動きをほとんど見せられなかったからだ。 実は吉田は、日本出発前に行なわれたニュージーランド戦をスタンドから観戦したとき、すでに重大な問題点に気がついていた。 吉田はそのときの緊張を思い出すかのように重苦し