IT業界では毎年のように「革命」が起こっているが、その名に値する技術はほとんどない。「クラウド」とか「ビッグデータ」とか「IoT」は昔からある技術に新しい名前をつけたバズワードなので、日経新聞だけが騒いで消えてゆく。それに対してブロックチェーンは、PCとインターネット以来の本物の革命である。 その解説書は多いが、本書はビットコインだけではなくブロックチェーン全体に視野を広げているのが特色だ。その応用範囲は金融を超え、広く「帳簿」や「契約」を公開データとして世界中で共有することにある。今まで国家が独占していた「信用」の保証を分散的にオンライン化する無政府性がブロックチェーンの本質だ。 わかりやすい応用は、DRM(デジタル権利管理)だろう。音楽や動画の流通の主役はネット配信に移ってきたが、収益を分配する中心がレコードレーベルやハリウッドからアップルやアマゾンに変わっただけで、相変わらずクリエイ