バブルは珍しいものではない。世界的には、10年に1回ぐらいどこかで起こっている。問題はそれが何度くり返されても、誰もが「今度は違う」と思い、その処理が遅れることだ。本書はバブルの記録としては表面的で凡庸だが、その張本人だった日経新聞に自覚がなかったことをよく示している。 公平のためにいうと、第2章に「財テク」という言葉を1983年につくったのが日経証券部で、そのとき著者も所属していたことは4行だけ書いてあるが、日経の責任はそんなものではない。「ストック経済」やら「内需株」やら新しいキャッチフレーズを作り出し、野村証券と一緒にバブル相場を盛り上げたのだ。 私も当時はバブルをあおる番組をつくったことがあるが、そのスピードにはついて行けなかった。むしろNHKは1987年から「土地はだれのものか」というシリーズで「地価上昇を国土法で統制せよ」というキャンペーンを張り、バブルが首都圏から関西に波及す