今月7日に起きたパリでの痛ましいテロ事件を受けて、事件直後は現代社会における「表現の自由」の重要性の主張が世論を席巻しました。 現地フランス、そしてヨーロッパにおいては、「表現の自由を守れ」という世論の高揚がひと段落し、議論はその焦点を微妙にずらし始めているように見受けられます。それは「表現の自由」という、基本的人権・価値観に関する限定的な議論から、かれらの社会において巨大なマイノリティーを形成するに至った異文化・異宗教の移民と、その第二・第三世代との共存を余儀なくされている、いまそこにある現実の社会問題に関する議論への発展といえるでしょう。 異民族との共存・共栄という耳触りのよいスローガンと、人口減対策・経済成長戦略の思惑の下に、かつては積極的な移民政策を推し進めてきたヨーロッパの国々も、今回の事件によって市民社会の健全性を維持していくためには、単なる共存・共栄のコンセプトから一歩先に進