わたしが小さい頃、母はわたしをこうやって諭したり慰めたりした。 「世の中にはこんなに不幸な人がいるんだよ。それに比べてあなたは恵まれてるのよ。」 テレビでアフリカの貧しい人が映った時、湾岸戦争の時、駅の柱の下にうずくまっていたホームレス…。 わたしの家は貧しかった。父はわたしが生まれた直後に亡くなり、母はわたしを女手ひとつで育ててくれた。そのことは、本当に感謝している。何の技能も持っていない女が、社会に出てお金を稼ぐことの難しさを、わたし自身も社会人になってから身に染みて実感することができた。何度も心がくじけそうになったのだろう、そしてその度に母は上の言葉を自分にも言い聞かせていたのだろう。今ではそれがわかる。そうやって自分を奮い立たせ、わたしを育ててくれたのだ。 でも、当時のわたしはその言葉を聞きたくなかった。辛く悲しい気分になったからだ。自分より下の人間を見て、自分の幸福を噛み締める。
安倍晋三首相は将来の憲法改正も視野に政府解釈を変え、集団的自衛権の行使を認めようとしている。特定秘密保護法の成立を機に始めた、長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)と杉田敦・法政大教授(政治理論)の連続対談は今回、憲法がいま直面する状況などについて、幅広く語り合ってもらった。 ■杉田「冷戦的思考…
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く