健康な人の免疫系のT細胞を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、着色処理した画像。T細胞は、新型コロナウイルスなどに対する防御で中心的な役割を担っている白血球を構成する免疫細胞のひとつだ。(SCIENCE SOURCE) 接種を受けた人の大半で重症化を防ぐ現行の新型コロナウイルスワクチンは、体内で抗体をつくらせて細胞への感染を防ぐ仕組みだ。 だが、現在承認されているワクチンの場合、接種から数カ月後には抗体量が減少してしまう。対して、抗体ではなく免疫系のT細胞をターゲットとするワクチンならば、ウイルスに感染した細胞をもっと早く排除できるうえ、より長期的に重症化を予防できるのではないか。 しかも、免疫反応が低下していたり、免疫抑制剤を使っていたり、あるいは血液のがんになったりしていて、抗体をつくりにくい患者も守れるかもしれない。そう考えて、「T細胞(誘導)ワクチン」の開発に取り組む研究者がいる。