我々が訪問した中で最もエキセントリックな店だ。ウエスタン北山珈琲店はあたかも客を一切受け入れないのではないかという印象を与える。営業中のサインにもかかわらず、店のドアには鍵がかかっていた。帰ろうとしたそのとき、中から我々を偵察している店主と目があった。我々が十分に日本語が話せる外国人であるということ、コーヒーを一杯飲んだら帰ること、そして写真を一切撮らないことを条件に、やっと店内へと入れてもらうことが出来た。 ここまでする価値はあったのだろうかとの思いがよぎったが、確かにあった。店内はコーヒーの世界における神社のような場所だ。ウエスタンな酒場のようだが、酒ではなくコーヒーを提供する店。コーヒー豆の袋が火薬の袋のように無造作にばら撒かれ、12の座席のうち2つか3つがバレルハウス風のピアノの方に追いやられている。我々との話が終わった店主は即座に仕事に取り掛かった。カウンターは高く、中で何をして
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