奈良・薬師寺は1日、寺所蔵の大般若経(だいはんにゃきょう)47冊が、奈良時代に書写された経巻を再構成した「永恩経(えいおんきょう)」の一部とわかったと発表した。元は巻物だったが、江戸時代に折り本に仕立て直されたらしく、これまで江戸時代の経本とされていた。永恩経は約40巻しか見つかっておらず、重要文化財級の発見という。 永恩(1167〜?)は鎌倉時代を生きた奈良・興福寺の僧で、奈良〜平安期の経巻を集めて大般若経全600巻の再構成に取り組んだ。永恩経の大半は散逸し、京都国立博物館の2巻が重文指定されている。 今回、永恩経とわかった経本は、1冊が縦25.6センチ、長さは折り目をならすと8〜10メートル。昨年9月、巻末の「奥書」に朱書きされた永恩の署名から「永恩経」と判明。筆跡などから、奈良時代の写経と判断された。 薬師寺宝物管理研究所の稲城信子研究員は「奈良時代の写経の発見は奈良でも数例。