近ごろ音沙汰ないように思っていたら、ついに逝かれてしまった。 詩人といえば、およそは自惚れ気取り屋というのが相場だが、谷川さんは違っていた。 岩波文庫の『自選 谷川俊太郎詩集』の解説ならびに年譜執筆者でもある山田馨さん(故人)を通じて、小社刊行の詩集(佐山則夫著『國安』)と拙著(『地図・場所・記憶』)をお渡しした。 すぐに下掲のような手紙をいただいた。 「中央」や「詩壇」に属せず、独特の詩をつくり続けている無名者の作品を、鼻であしらうことなく真向から評価してくださった。 まことに稀有な詩人である。 山田さんに訊いたら、宣伝用に使ってと言っていたという。 あらためてお礼申し上げ、ご冥福をお祈りする。 高温高湿日々奄々、如何お過ごしでしょうか。 たまには近況をと、以下雑文をしたためます。 一昨年より身辺に訃報いや増すの状況。 対して「墓要らぬ骨は捐(す)つべし冬銀河」などと嘯いていましたが、夫