思想なんていらないと 言われた衝撃 監督をやってくれないかと3年ぶりに話が来たのは、『機動警察パトレイバー』でした。そのプロデューサーは、はっきりと物を言う男で「実際にきちんと映画を作れる監督はほとんどいない。でも君はちゃんとエンターテインメントができるじゃないか」と、僕に依頼してきたのです。いろいろうるさいことを言う監督だし(笑)、訳の分からない作品もあるけれど演出能力は高い。監督としての手腕を信頼しているから、うまくやってくれよということだったんですね。 自分の企画で頭でっかちになっていた僕に、彼は「君の思想とかには何の興味もない。映画というのは口に入れた時においしい味がして、最後まで飽きないことが大切なんだ。その中に思想として薬や毒を隠し入れるのは自由にやればいいさ」と言い切った。中に何を入れてもいいから、観客がおいしいと言うあめ玉として丸めて見せろと。その時にやっと僕は分かったんで