始祖鳥の化石、ミュンヘン標本。(PHOTOGRAPH BY PASCAL GOETGHELUCK, ESRF) 「最古の鳥」とも呼ばれる始祖鳥。翼をもち、鳥類と恐竜とのつながりを示唆するこの羽毛恐竜は、果たして実際に飛ぶことができたのか? この問いを巡り、古生物学者たちは何十年も激しい議論を戦わせてきた。翼はあるものの、始祖鳥が自力で空を飛べたかどうかは不明のままだ。木の上から滑降していたのか、羽ばたいて地上の捕食者から逃れられたのか、あるいは、そのどちらともまるで違う動きをしていたのだろうか? このほど、始祖鳥の前肢の骨を分析した研究結果が3月13日付けで学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された。それによると、始祖鳥の前肢の構造は現在のウズラやキジの翼の骨の作りに非常に近いという。いずれも、短い距離を勢いよく飛べる鳥だ。今回の発見により、始祖鳥が空を実際に飛べたという説が強