「バンドマンの彼が、あの時もう少し売れていたら」、「映画好きな彼がめんどくさくなければ」、と仮定と後悔を積み重ね、グラスに入ったお酒を飲み干す。 頬杖をついてサーモンに手を伸ばし、不幸自慢をしては自虐ネタに走る。そして、「あ〜、いい出会いがないかな〜」、「胸を焦がすような恋愛がいしたい〜」と左手に持ったグラスをテーブルに戻す。 女友達と気ままに集まっていたら33歳になっていた。それが「東京タラレバ娘」だ。 タラレバ娘になりたかった仕事に奔走し、不器用な恋愛に走る彼女たちは、あまりにリアル…ではなく、少し憧れの存在だった。 私の母は専業主婦だったし、同級生も似たような家族構成が主だった。今でこそ、仕事と家庭を両立させる女性が増えてきたけれど、私の身近な女性は「仕事を辞め、家に入る」道を選んでいた。 多分私だけではない。男女雇用機会均等法は1985年に制定、翌年施行された。そのため、アラサーの