長年連れ添った伴侶に先立たれたとき、その現実と向き合い、乗り越えるのは容易なことではありません。それでも生きていくためには、どうすればいい? 伴侶を失って、それでも自分の人生を歩んでいくために——。2020年12月に別れを経験した樫山文枝さんに、お話を伺いました。 舞台に立っているときは孤独から解放されます 樫山文枝さんの夫、個性派俳優として活躍した綿引勝彦さんの訃報が届いたのは、2020年12月のこと。18年にがんと診断された後も、「皆に気を使わせたくない」と、病を隠して5本の映画に出演し、75年の人生を閉じた。 「彼は何でも自分でやってしまうし、とても我慢強い人。痛いとか苦しいとか、一切弱音を吐きませんでした。だから、どうやって支えればいいのか戸惑うことも多くて。今にして思えば、もっと何かしてあげられることがあったのではないかという、後悔は残っています。ただ、一昨年から去年……と、少し