人体の情報伝達網の1つが神経であるならば、人体無線網(BAN)で神経に相当するのは「無線」だろう。 前述したように、BANで使う無線通信方式には、まず消費電力の低さが重要である。それだけではなく、医療や見守り(監視)といった分野に向けては、データをやりとりする際に高い信頼性や遅延時間(latency)の短さが求められる。これらの分野では、例えば病院や宅内で患者の状態を常時モニタリングするというように、生体に関して重要な情報を扱う場面が想定されるからだ。 すでに、低消費電力を特徴とする無線通信方式が複数規格化されており、それぞれに対応した無線チップが市場にある。さらに、低消費電力の方式であるBluetoothやZigbeeの普及促進を図る業界団体では、ヘルスケアや医療分野に向けた取り組みを強化している。BANに向けた新方式も現われる。現在策定が進む国際標準規格「IEEE 802.15.6」は