フォーサイト WORLD 海上保安庁の巡視船に衝突した中国漁船(166トン、全長約33メートル)=2010年9月7日[第11管区海上保安本部提供]【時事通信社】】 ジャーナリスト 藤田洋毅 Fujita Hiroki 「事件の実態は、酒鬼(酒乱)の暴走に過ぎない。だが、日本は一歩踏み込んできた。妥協する選択肢は、ありえなくなった」――中国国務院(中央政府)の幹部は、深い溜め息をついた。 9月7日午前、沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)の日本領海で起きた中国漁船による海上保安庁巡視船との衝突事件は、24日、那覇地検が船長を処分保留で釈放すると発表、船長逮捕に関する法的な処分は一段落した。 当初は「国内法に従い粛々と処理するだけ」「中国は冷静に対応するべき」(仙谷由人官房長官や事件時に国交相だった前原誠司外相ら)と応じていた日本政府だが、船長が“凱旋帰国”した翌26日には「双方が冷静に対処すべき
フォーサイト POLITICS 衆院本会議に臨む鳩山由紀夫首相=2010年5月31日午後、国会内【時事通信社】 米軍普天間飛行場移設問題をめぐって、鳩山由紀夫首相は沖縄県名護市辺野古への移設を拒否した社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免した。これに反発した社民党は5月30日、連立政権からの離脱を正式決定した。 社民党は参院選での民主党との選挙協力を維持する構えだが、社民党内には民主党への憎悪さえ芽生えており、現場レベルで選挙協力がうまく機能するかどうかは未知数だ。社民党候補がいない選挙区では、社民党支持層は民主党候補に投票する割合が多いとみられており、民主党もそれに期待していた。だが、今回の一件で社民党支持層の民主党離れが進むことは確実。民主党にとっても大きな痛手となった。 この不手際によって、民主党内では鳩山首相の退陣を求める声が急速に広がりつつあるが、実は鳩山首相の進退をめぐ
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