<捕鯨に22億円> かつて沿岸捕鯨の基地として栄えた石巻市鮎川港から南へ1万数千キロ。南極海で操業する調査捕鯨船を反捕鯨団体の妨害から守る費用として国は昨年度、22億8400万円の予算を付けた。 予算の出どころは復興特別会計だ。水産庁は「妨害に屈しない姿が、被災漁民を励ます」(国際課)と意義を強調するが、実際には、費用の大半が船団の燃料代で消える。 水産庁の説明を同庁OBの小松正之政策大学院大教授(海洋政策論)は「調査捕鯨船の燃料代と被災地の復興は無関係。次元が低すぎて論評にも値しない」と切り捨てる。 「復興を食い物にするような姑息(こそく)な予算獲得では、調査捕鯨の正当性にまで疑いの目が向けられる」と眉をひそめた。 国は、復興に要する費用を「10年間で23兆円」と試算し、うち19兆円を前半の5年間に投入する。インフラ復旧、復興交付金のほか、各省庁が担う国直轄事業も多い。 財源は増税で賄わ