液化水素の事業を進めるHySTRA同様、水素(H2)以外の水素キャリアを推進する企業もそれぞれ推進組織を設立し、仲間づくりやプロモーションを展開している(表2)。その中で、競合より一歩早く事業化を進めてきたのが、「メチルシクロヘキサン(MCH)」という材料を扱う「次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)」だ。主導するのは、千代田化工建設である。
次世代エネルギーの「本命」とも言われる水素。脱炭素社会実現に向けた切り札です。日本は2017年、世界に先駆けて水素基本戦略を策定しました。しかし、その後、世界各国も「本命」を手に入れようと力を入れ始め、今は激しい争奪戦となっています。スマホや半導体のように欧米にまたもや先を越されてしまうのか。厳しい現状と日本の勝ち筋を探ります。(経済部記者 佐々木悠介) 日本のエネルギー政策の司令塔である経済産業省。ある幹部が私に深刻な表情でこう打ち明けました。 「日本が脱炭素燃料でも世界に負けてしまいかねない事態だ」 日本が世界に負けてしまう? この幹部が危機感を募らせていたのは水素のことです。水素は水からも作ることができ、燃やしても二酸化炭素を出さない、理想的な次世代エネルギーと期待されています。
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