時として業界をリードする優秀な大企業が、革新的な技術を持った新興企業になすがままに敗れ去ることがあります。ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授は、このことを「イノベーションのジレンマ」という概念で説明しました。一言でいえば、抜本的なイノベーションを行うか、既存技術の延長路線で行くか、という戦略の間でジレンマに陥ってしまうことを指しています。今回は写真フィルムで高収益を上げていたコダックが、デジタルカメラという革新的な技術により敗れ去り、かたや富士フイルムは「両利きの経営」という手法でイノベーションのジレンマを見事に乗り切った事例を紹介します。 イノベーションのジレンマとは まずは「イノベーションのジレンマ」について説明しましょう。 優秀な大企業は既存の商品に関して持続的なイノベーションを行って高い収益を上げているがゆえに、かえってひょっこりと現れた破壊的なイノベーションに遭遇