半分以上は無料で読めます。キナリ★マガジン購読者さんは、おまけまで全文読めます。わが弟が、26歳の誕生日を迎えた。 毎朝、毎晩、覚えたてのLINEでカナリヤがさえずるごとく「デイズニーランド」と、弟が送ってくる。 小さな「ィ」の打ち方がわからないのを逆手にとり「ディズニーランドではないみたいね」と知らばっくれるのにも限界がありそうなので、しぶしぶお連れすることになった。 天日干しされたトドのように、昼間からベッドに横たわる母を誘った。二人で行くより、三人で行った方が、なにかと機動力が高まるのだ。 母いわく、夢に出るほどしつこく誘ったのだが、答えは 「姉弟だけで、仲良く行ってきい」 の一本槍だった。 寒いのも、乗りものも、行列も嫌いな母にとって、ディズニーランドはトリプル役満である。 弟と千葉へ向かう途中で、ことあるごとに母へ 「まわりはみーんな、お母さんがおってうらやましいわ」 「心細くて