「被害者が嫌なら必死で抵抗するはずだ」「事態を招いた責任は被害者の言動にある」ーー。こうした強姦に関する誤った通説を「強姦神話」と呼ぶ。 「司法の場でも確かに強姦神話が根強くあった」。そう振り返るのは、セクハラ(性的嫌がらせ)を理由とした日本初の民事裁判「福岡セクハラ訴訟」の代理人で、その後数々のセクハラ(性暴力)事件を担当してきた原田直子弁護士だ。 さかのぼること21年前の1997年6月25日。熊本地裁で、性暴力被害者の心理状態について、専門家の見解に基づいて判示した画期的な判決がでた。当時、原告女性の代理人を務めた原田弁護士含む女性協同法律事務所の弁護士達は「裁判に勝っていかないと、性暴力被害者に対する正しい理解が広まっていかないという意識があった」と振り返る。(編集部・出口絢) ●「関係を継続している被害者」の存在 この事件は、原告である実業団のバドミントン部の女性選手(当時23)が