御厨:かつて与党だった自民党が野に下ったとたんにこれです。自分たちがどう見られているのか、という意識がまったくない。自分たちの下品な野次を飛ばしている様子が、海外へ立ちどころに伝わるという発想がない。品のない野次で、日本がどんな印象を持たれるか、考えが及んでいない証拠です。首相の器以前に、政治家たちの資質が大いに問われてしまう実態がメディアを通じて日本はもちろん世界に流れてしまいました。 池上:すでに就任から時間がたった首相の政治手腕に対して野次を飛ばすなら、まだわからなくもない。ですが、就任したばかりの首相に対しては「まずは話を聞きましょう」というのが礼儀ではないでしょうか。 御厨:「政治の作法」がすっかり消えてしまいました。1年に1人のタイミングで次々と首相が交代しているうちに、首相の存在自体が軽くなってしまったことも大いに影響しています。「政治家ならば誰でも首相になれる」というイメー