サムスンをめぐる誤解の1つに、「強烈なトップダウンだから意思決定のスピードが速く、大胆な決断ができる」というものがある。一方、日本企業の意思決定スピードが遅いのは一般に、「下からの意見を吸い上げて全体をまとめていくボトムアップ型のプロセスに原因がある」と考えられているようだ。 しかし、実態はむしろ逆で、サムスンが「即決につながりやすいボトムアップ方式」なのに対し、日本企業は「即決とはほど遠いトップダウン方式」なのではないか。そして、この意思決定方式の違いが、両者の経営スピードに大きな差を生み出しているのではないか、と筆者はみている。 「意思決定のスピード」が物を言う時代 ものづくりのデジタル化が進み、新興国が消費、生産の両面で台頭してきたグローバル市場においては、"スピード"と"思い切った投資"が勝敗を決する。とにかく大事なのは、「先頭を走る」こと。二番手であればわずかなおこぼれにあずかれ