長浜市学芸専門監の太田浩司さん(57)が、著書「近世への扉を開いた羽柴秀吉」をサンライズ出版(彦根市)から発行した。長浜城主時代の秀吉に焦点を当て、その実像や政策の歴史的意味に迫る内容。十日から県内の主要書店で販売する。 戦国時代の一五七三(天正元)年、浅井氏攻めの功績で織田信長から北近江に領地を与えられた秀吉は、初の城持ち大名として長浜で築城を開始。約十年にわたって城主を務め、天下人への足掛かりとした。 太田さんによると、長浜城主時代の秀吉は、土地の価値を米の生産量に換算して表す「石高制」を全国に先駆けて導入。城と家臣団屋敷、城下町をコンパクトにまとめ、流通の拠点とする先進的なまちづくりも推し進めた。 秀吉はこうした政策を長浜で試行した後、天下統一後に全国で展開。「石高制」は江戸時代の社会体制の基盤となったほか、近世最古の長浜の城下町は全国のモデルになったという。太田さんは「地方分権を中