毎年、流行を繰り返すインフルエンザ。そのウイルスは少しずつ変化し、人が持っている免疫から外れるような形に姿を変えてきた。だが、インフルエンザウイルスは突然変異によって、大きく姿を変えて人間の前に現れることがある。今までになかったタイプに変異するため、まったく免疫を持たない人の世界に広まると、世界的な大流行を引き起こす。これが、新型インフルエンザである。 日本で新型インフルエンザが流行した場合、3200万人が発症し、64万人が死亡することもあり得る、と厚生労働省は想定している。そうなると社会的混乱に加えて、米国発の金融危機に揺さぶられている実体経済にも深刻な影響を与えかねない。 この新型インフルエンザの影響や、大流行に備えて企業が取るべき対応策について、今後2回にわたってリポートする。まずは、厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議の議長を務める岡部信彦氏(国立感染症研究所感染症情報センター