熟語「if any」の誤用は、日本人学者による論文で度々目にします。この表現は「もしあれば」、「存在する場合には」などといった意味を表すのに使用できますが、その用法は、文法的に誤っている上に曖昧な文意をもたらすこともよくあるため、学術論文では避けるべきです。 例文を見てみましょう。 [誤] (1) A successful treatment must first satisfy all protocol conditions (if any). [正] (1) A successful treatment must first satisfy all protocol conditions. [正] (1’) A successful treatment must first satisfy all protocol conditions, if such exist. [誤] (2)
この連載でもたびたび伝えているように、科学の世界では、論文に書かれているものと同じ材料を用意し、同じ方法で実験しても同じ結果が出ないことがずっと問題になり続けています。このことは「再現性の危機」と呼ばれることもあります。 問題になり続ける理由の1つとして、研究の追試(再現実験)が重要視されていないということがあります 。たとえ科学者が他人の論文に書かれた研究の追試を行っても、新しい知識がもたらされるわけではなく、彼らにとって何の利益にも実績にもならない、したがって追試をしたりその結果を発表したりする動機がなかなか生じない、と捉えられているようです。 そればかりか、後述する『ネイチャー』の社説は次のように指摘します。 多くのジャーナル(学術雑誌)は、追試研究を 評価することを拒んできた。また科学者の多くは、もし(追試の)結果が(もとの実験結果と)一致しなかったとき、諍いが起こるようなことをし
日本人の学術研究論文で「as long as」と「as far as」という句が混同されていることを度々目にします。これらの表現が同義ではないことに注意して欲しいです。いずれの表現にも何らかの条件を挙げるといった用法があり*、そうした用法では和訳が(「…の限り」、「…する限り」などになって)一致することもありますが、一般的に「as long as」と「as far as」は互いに置き換えることができません。 *両表現にその他の用法もあります。主なものとして「as long as…」には期間の長さの上限を示す用法と「…なだけ長く」という意味を表す用法があり、一方、「as far as…」には「…まで」のような意味を表す用法があります。 条件を挙げる用法で用いられる場合には、「as long as」と「as far as」はそれぞれ「on the condition that」と「to the
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