「ロシアは勝てないが、ウクライナも勝てない」──「粘り勝ち」狙いのプーチンと戦争が終わらない理由とは? <持久戦に持ち込めば勝ち目があると見込むプーチンだが、西側諸国の「支援疲れ」は見られない。他方、ウクライナのNATOとEU加盟も頭の痛い問題> ロシアのウクライナ侵攻が始まって11カ月。8年も続く紛争の最終段階でもあるこの侵攻が、近いうちに終わることはまず期待できない。 昨年2月24日の侵攻開始後まもなく停戦交渉が始まったが、双方の要求に決定的な隔たりがあり協議は難航を極めた。しかもウクライナでは、首都キーウ(キエフ)郊外からロシア軍が撤退した後、むごたらしい住民虐殺の証拠が見つかると、徹底抗戦を求める声が一気に高まり、4月までに交渉は完全に頓挫した。 戦争を終わらせるには交渉が必要なことは双方とも認めるが、ウクライナとロシアの現実認識は大きく懸け離れている。ウクライナが望むのはロシア軍