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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (139)

  • 傾いたL字型のフィリップス曲線 - himaginary’s diary

    というNBER論文をエガートソンらが上げている。原題は「The Slanted-L Phillips Curve」で、著者はPierpaolo Benigno(ベルン大)、Gauti B. Eggertsson(ブラウン大)。 以下はその要旨。 A slanted-L curve is well-suited to represent the non-linearity of the celebrated Phillips curve. We show this using cross-country data of major industrialized economies since 2009, including the inflationary surge of the 2020s. At high unemployment rates, an increase in deman

    傾いたL字型のフィリップス曲線 - himaginary’s diary
  • これはハマスの罠なのか? - himaginary’s diary

    今回のハマスの蛮行は世界を震撼させたが、なぜそこまでの残虐行為を行ったかを考えると、イスラエルにガザ侵攻を余儀なくさせるためではないか、という仮説が一つ考えられる。そこで「Hamas trap」でぐぐってみると、同様の仮説を立てている記事に幾つか行き当たったので、引用してみる。 まずは、USAIDに在籍していたR. David Hardenによる10/11付けNYT論説記事からの引用。 Hamas knew that the attack on Saturday would give Mr. Netanyahu little choice but to retaliate with a ground invasion, and it knows that the Israel Defense Forces’ technology and military superiority would

    これはハマスの罠なのか? - himaginary’s diary
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2023/10/14
    泥沼の地上戦を余儀なくさせるために、あえて残虐なテロや人質作戦をやってみせたとの見立てか
  • ある支配的な国際通貨は別の国際通貨にどのように取って代わられるか?:新旧の実証結果 - himaginary’s diary

    というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「How is a leading international currency replaced by another? Old versus new evidence」で、著者はArnaud Mehl(ECB)、Marko Mlikota(ペンシルベニア大)、Ine Van Robays(ECB)。 以下はその冒頭。 This special feature reviews the evidence – both old and new – on how a leading international currency is replaced by another. The conventional historical narrative is that inertia in international curr

    ある支配的な国際通貨は別の国際通貨にどのように取って代わられるか?:新旧の実証結果 - himaginary’s diary
  • 経済学的観点からのAI規制を妨げているもの - himaginary’s diary

    人は生成AIに知性を幻視しがちだが、欧米人は道具として割り切っている、という主旨のはてな匿名ダイアリーが話題になったが、そもそもそうした幻想はAI業界の黎明期に端を発しており、その幻想が経済学的視点からのAIの規制を妨げている、という趣旨のことをダロン・アセモグルがリッチモンド連銀のEcon Focusのインタビュー(H/T Mostly Economics)で述べている。 EF: Arguments for regulating AI along economic lines seem uncommon now. More usually, one sees arguments about AI and alignment, about AI and long-term threats. Acemoglu: Those arguments really confuse the deb

    経済学的観点からのAI規制を妨げているもの - himaginary’s diary
  • クルーグマン銀行危機を語る - himaginary’s diary

    前回エントリで紹介したサマーズの銀行危機についてのインタビューは、3月21-22日に開催されたFOMCの前週に実施されたもののようで、25ベーシスポイントの引き上げを言外に言い当ててたが、FOMC直前の3/20の連ツイでクルーグマンは、FRBは何もするな、と主張していた。 So, on vacation — but in the middle of a banking crisis. Will weigh in with a newsletter tomorrow, but where my thinking is right now. The banking mess is, as far as I can tell, sufficient reason for the Fed to pause until we know more 1/ Before banks started exp

    クルーグマン銀行危機を語る - himaginary’s diary
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2023/04/03
    「利上げが住宅、雇用、所得に遅れて効果を発揮することを私は依然として恐れている。そこへ銀行ショックである」
  • イベルメクチン問題が教えてくれること - himaginary’s diary

    Scott Alexanderという有名ブロガー(cf. Slate Star Codex - Wikipedia)によるイベルメクチンのCovid-19への効果のメタ分析をタイラー・コーエンが推奨している。日語記事では既にgigazineがその概要を紹介している。 そのブログでアレキサンダーは、イベルメクチンの効果に関する研究をまとめたサイトを次のように賞賛している。 Any deep dive into ivermectin has to start here: This is from ivmmeta.com, part of a sprawling empire of big professional-looking sites promoting unorthodox coronavirus treatments. I have no idea who runs it - th

    イベルメクチン問題が教えてくれること - himaginary’s diary
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2021/11/23
    「寄生虫治療はCOVIDー19の負の影響を減らすだろう! そしてイベルメクチンは駆虫剤なのだ! 話の行方は明らかだろう・・・」 "大した数値ではないがわずかに良い相関はありそう"という分析をもたらした因果はコレか
  • コロナの影響は地域限定ではない - himaginary’s diary

    HealthとWealthの語呂合わせをタイトルにしたコロナ関連論文がもう一つあったので、序でに紹介しておく。以下はNBERに上がっていたZhixian Lin、Christopher M. Meissner(いずれもUCデービス)の「Health vs. Wealth? Public Health Policies and the Economy During Covid-19」の要旨。 We study the impact of non-pharmaceutical policy interventions (NPIs) like “stay-at-home” orders on the spread of infectious disease. NPIs are associated with slower growth of Covid-19 cases. NPIs “spill

    コロナの影響は地域限定ではない - himaginary’s diary
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2020/05/13
    「Covid-19パンデミックにおいて「外出禁止」令を発令した米国の州での職の喪失は、「外出禁止」を行わなかった州よりも多くは無かった」 国際間でもいえそう
  • 英韓の明暗はどこで分かれたのか? - himaginary’s diary

    という点について分析したNBER論文が上がっている。論文のタイトルは「Inequality of Fear and Self-Quarantine: Is There a Trade-off between GDP and Public Health?」で、著者はSangmin Aum(明知大学校)、Sang Yoon (Tim) Lee(ロンドン大学クイーン・メアリー校 )、Yongseok Shin(セントルイス・ワシントン大学)。 以下は導入部の一節。 Our model provides a framework for quantitative analysis and can be used to evaluate and predict the aggregate and distributive effects of real-world policies in variou

    英韓の明暗はどこで分かれたのか? - himaginary’s diary
  • 経済学者たちのSIRモデル - himaginary’s diary

    経済学者がSIRモデル(cf. Wikipedia)を扱った論文が幾つか上がっている。 ハーバードのジェームズ・ストックは、「Data Gaps and the Policy Response to the Novel Coronavirus」と題した論文を公開している(H/T マンキューブログ)。そこで彼は、現在の検査が有症状者に偏っていることから、SIRモデルにおける感染確率Pr(It)が正確に測定できないことを指摘し、以下のベイズ則による表現式を提示している。 Pr[It|有症状] = Pr[有症状|It]Pr[It]/Pr[有症状] = (1-πa)Pr[It]/Pr[有症状] ここでπaは無症状率(検知されない感染率)である。  また上式の分母は Pr[有症状] = Pr[有症状|It]Pr[It] + Pr[有症状|St]Pr[St] + Pr[有症状|Rt]Pr[Rt]

    経済学者たちのSIRモデル - himaginary’s diary
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2020/04/08
    「Atkesonのシミュレーションで一つ面白いのは、R0を最初思い切って抑えて、その後緩めたケースを示したことである。(中略)現在厳しい社会的隔離策を取って抑制に成功した国も、油断は禁物、ということになる」
  • 供給ショックが需要不足につながる時 - himaginary’s diary

    について書かれた論文をクルーグマンが激賞している。論文のタイトルは「Macroeconomic Implications of COVID-19: Can Negative Supply Shocks Cause Demand Shortages?」で、著者はVeronica Guerrieri(シカゴ大)、Guido Lorenzoni(ノースウエスタン大)、Ludwig Straub(ハーバード大)、Iván Werning(MIT)。クルーグマン自身も3月末に同様の点について考察した小論を上げているが、こちらの論文の方がより深く緻密に考察している、としている。 論文の一つの結論は以下の図に集約されている。 以下はその図についての説明。 Figure 1 illustrates this logic for two sectors, 1 and 2, where sector 1 ge

    供給ショックが需要不足につながる時 - himaginary’s diary
  • 世界人口の地殻変動 - himaginary’s diary

    「Global Demography: Tectonic Shifts」と題したConversable EconomistブログエントリでTim Taylorが、人口動態を特集したIMFの季刊誌「Finance & Development」*1の3月号から、デビッド・ブルーム(David Bloom)ハーバード大教授の筆頭論文「Taking the Power Back」の内容を引用している。以下はその孫引き。 ●世界人口の変化 Ninety-nine percent of projected [population] growth over the next four decades will occur in countries that are classified as less developed—Africa, Asia (excluding Japan), Latin Ame

    世界人口の地殻変動 - himaginary’s diary
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2019/08/27
    「インドは2022年に中国を追い越し、世界最大の人口を持つ国になる」 そんな間近な話だったのか。まぁ中国の人口統計の確度はどうよというのもあるが、他国の統計の精度にツッコみづらくなった昨今
  • 経済学における話題の新しいアイディアが実際には悪いアイディアである理由 - himaginaryの日記

    ジョージ・メイソン大のMercatus Centerの表題のコメンタリー記事(原題は「Why a Hot New Idea in Economics is Actually a Bad Idea」)で、スコット・サムナーがMMTを批判している(共著者はPatrick Horan、H/T Mostly Economics)*1。 以下はその冒頭。 In recent years, a radical and unorthodox school of thought called “Modern Monetary Theory” (MMT) has become popular with some progressive economists, as well as with policymakers and activists on the political left. One of MM

    経済学における話題の新しいアイディアが実際には悪いアイディアである理由 - himaginaryの日記
  • フリーソフトとGDP - himaginaryの日記

    以前、無料経済とGDPに関するShane GreensteinのDigitopolyエントリを紹介したことがあったが、こちらのエントリ*1でGreensteinが再びそのテーマを取り上げている。そこで彼は、テレビが白黒からカラーに移行した時の経済効果の計測について以下の点を指摘している。 テレビの物価指数は既存のテレビの価格変化を測るので、以前は不可能と思われた変化の価値を過小評価する。従って、そこには改善は現れない。 番組や広告は色が付いたことによってより効果的になる。それで人々がもっとテレビを視聴するようになり、テレビの売り上げは増え、テレビの広告料も増える。だが、広告主がテレビに切り替えることにより、ラジオと新聞の広告料収入は減る。経済全体の広告料は概ね一定なので、GDPへの寄与は主にテレビの売り上げ増分に留まる。 広告がより効果的になったことにより、広告された商品の売り上げは増える

    フリーソフトとGDP - himaginaryの日記
  • 貿易戦争:アイケングリーンとロドリックの見方 - himaginary’s diary

    6日のトランプの関税引き上げ決定を受けて、バリー・アイケングリーンとダニ・ロドリックがそれぞれ12日と10日のProject Syndicate論説で貿易戦争の帰趨について論じている。アイケングリーンは、貿易戦争の影響はまだ顕在化していないが、これから表面化する、と警告している。一方、ロドリックは、貿易戦争はまだ防げる、とアイケングリーンに比べてやや楽観的な見方を示している。 アイケングリーンは、米国の輸出入と海外投資の1兆ドル近い金額が貿易制限の対象になりそうな現在、経済や金融にまだ影響があまり出ていない理由として、以下の3つの説明候補を挙げている。 企業の購買担当者や株式投資家は、最終的に皆が正気に立ち戻ることに賭けている。 彼らは、トランプの脅しが単なるこけおどしであること、もしくは、米商務省や各種経済団体の抗議が最終的に通ることを望んでいる。 市場は、貿易戦争に勝つのは容易である、

    貿易戦争:アイケングリーンとロドリックの見方 - himaginary’s diary
  • ロドリックの十戒 - himaginary’s diary

    昨日紹介したスティーブ・キーンの33ヶ条の論題を巡る論争(支持側のガーディアン紙記事、およびそれに対する英経済学者の一団の反論)にダニ・ロドリックが反応し、経済学者向けと非経済学者向けそれぞれに彼自身の考えを表した十戒を書き下ろしている(H/T hicksianさんツイート)。 以下は経済学者向けの十戒の拙訳。 経済学はモデルの集合体である。その多様性を大切にすべし。 モデルは一つのモデルであって唯一のモデルではない。 特定の要因とそれがどのように作用するかを取り出せるほどモデルを簡単化すべし。しかし、要因間の重要な相互作用を落としてしまうほど簡単化してはならない。 仮定が非現実的であることは問題ない。決定的に重要な仮定が非現実的であることは問題。 世界は(ほぼ)常に次善の状態である。 モデルを現実世界に投影する際は明示的に実証的な検証をする必要があるが、そうした作業は科学というよりも技で

    ロドリックの十戒 - himaginary’s diary
  • ロドリック「1990年代に世界経済と国内経済・社会の主客転倒が生じた」 - himaginary’s diary

    昨日紹介したロドリックインタビューから、その他のロドリックの発言の概要をまとめてみる。 グローバル化は相異なるレントシーカー集団の相対的な力関係を変え、レントシーキングの土俵も変わったと思うが、レントシ−キング自体が増加したかどうかは分からない。 グローバル化を盲目的に持ち上げ、その恩恵を誇張し、マイナス面を過小評価したことによって、我々は事実上、ある種の権益に特権や優先権を与えてしまった。そのことが、製薬会社や海外投資家が自分の欲しいものを易々と手に入れた一因。 貿易協定によって強力になったレントシーカーは、銀行などの金融機関、多国籍企業、製薬会社の3つ。その影響は、投資ルール、金融サービス協定、知的財産権に見て取ることができる。 グローバル化は社会の分断に寄与した。それは格差拡大だけではなく、社会の相異なる集団同士の「社会的距離」の拡大という形でも表れている。資産を持ち、国境を越えた

    ロドリック「1990年代に世界経済と国内経済・社会の主客転倒が生じた」 - himaginary’s diary
  • ロドリック「貿易協定はWTOを境に変質した」 - himaginary’s diary

    昨日紹介したサマーズ論説の貿易協定無罪論とは対照的に、ダニ・ロドリックがProMarketインタビューで貿易協定への批判を繰り広げ、併せて貿易協定を支持する経済学者を指弾している。 Q: In a recent paper, you argue that contrary to the prevailing view among economists, trade agreements are the result of rent-seeking by politically well-connected firms. Can you elaborate? Trade agreements are political documents. Special interests, lobbyists, industry, and labor groups have always played

    ロドリック「貿易協定はWTOを境に変質した」 - himaginary’s diary
  • ZOZOTOWN経営陣の要望に応える欧米の左派政党 - himaginary’s diary

    「Brahmin Left」とピケティが名付けた層が所得格差縮小の障害になっている、という話が話題になっている。ProMarketで「なぜ民主主義が格差縮小できないか:インテリ左翼のせいだ(Why Democracy Fails to Reduce Inequality: Blame the Brahmin Left)」というそのままずばりのタイトルの記事でピケティの研究が紹介されているほか、ロドリックがProject Syndicate論説で以下のように説明している。 The French economist Thomas Piketty has recently documented an interesting transformation in the social base of left-wing parties. Until the late 1960s, the poor

    ZOZOTOWN経営陣の要望に応える欧米の左派政党 - himaginary’s diary
  • ロボット・パラドックス - himaginary’s diary

    機械が人間を置き換える、という懸念が一般に取り沙汰されているが、マクロ的に見ると英経済では逆のことが起きている、とクリス・ディローが表題のエントリ(原題は「The robot paradox」)で指摘している。 ...the gap between the growth of the non-dwellings capital stock and employment growth has been lower in recent years than at any time since 1945. ... ...Households are saving less than they used to, which is not what you’d expect if they feared losing their jobs. Companies are still building

    ロボット・パラドックス - himaginary’s diary
  • 貿易戦争とネイピア数 - himaginary’s diary

    6/17エントリでクルーグマンが、貿易戦争の帰結について考察し、以下の予測を行っている。 関税は30-60%の範囲となる 世界の貿易は7割減少する 世界のGDPは2-3%減少する 関税についてクルーグマンは、最適関税を理論的に導いたOssaやNicita et alの試算(Ossa=60%近く、Nicita et al=現状から32%ポイントの上昇)や、スムート=ホーリー法の45%という数字*1から、40%以上になる可能性が高い、としている。 貿易量については、こちらのメモでの考察から7割減少という結果を導き出し、これはGDP比で1950年代に戻ることに相当する、としている。 GDPへの影響については、厚生損失を三角形に近似して求めた輸入減少量×1/2×関税率という式に、米国における輸入のGDP比率として15%、その減少率として上述の70%、関税率として40%という数字を当てはめ、GDPの

    貿易戦争とネイピア数 - himaginary’s diary