日本では「解決済み」とされている徴用工問題。韓国大法院(最高裁)の判決が“パンドラの箱”を開け、問題の射程は日韓基本条約(1965年)や、これまで積み重ねてきた戦後和解の在り方まで及んでいる。日韓対立の背景と構造的要因について、改めて振り返る。 歴史・安保・経済の「全面対決」 「史上最悪の日韓関係」といわれる。日本政府がホワイトリスト(輸出管理優遇措置対象)から韓国を外すことで歴史問題と経済問題がつながり、韓国政府が日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄することで経済問題が安保問題にまでつながった。しかも、こうした政府間対立が、韓国における日本製品の不買運動や日本国民の「韓国疲れ」に見られるように、市民社会の領域にまで及んでいる。 そもそもの契機は、「旧朝鮮半島出身労働者(いわゆる徴用工)」問題に関する大法院(韓国最高裁)判決(2018年10月)である。本来、民間人と民間企業の間の