——「クラシックの演奏家」としてのベニー・グッドマン(1909-1986)1940年代の前半——つまりは第二次世界大戦で世界中が荒れに荒れていた頃、アメリカ国内ではスウィングジャズを演奏するビッグバンドの人気が頂点に達していた。その象徴ともいえるジャズ・ミュージシャンが、クラリネット奏者のベニー・グッドマン。1934~35年にかけて出演したラジオ番組「レッツ・ダンス」をきっかけに、全米各地でグッドマンは熱狂的な人気を博していた(ちなみにこの番組名「レッツ・ダンス」は、ウェーバーの「舞踏への勧誘」をアレンジした楽曲タイトルにもなっている)。 1938年になるとグッドマンは、それまでのジャズ・ミュージシャンとは一線を画した活動をはじめる。 ・1月16日にジャズの楽団として初めてカーネギーホールでライヴを開催。 ・4月25日に当代随一のカルテットであったブダペスト弦楽四重奏団と共演し、モーツァル