アジア開発銀行(ADB)の分析と予測では、中国経済の低迷にもかかわらずアジア経済は好調であり、それが意味するところは中国の重要性の低下だ。ADBはこうした図を描こうとしていたわけではないだろうが、不注意か意図的かは別として、これが実態であり、中国の野心に沿うものではないことは間違いない。 フィリピン・マニラに本部を置くADBのエコノミストたちは、報告書で明確には指摘していないものの、この経済力の変化に触れざるを得なかった。予測される中国の減速とは裏腹に、アナリストらはアジア経済全体の見通しは概ね明るいと見込んでいる。 同行の見通しによると、中国を含むアジア46カ国の今年の実質成長率は平均4.9%で、来年はわずかに今年を上回る。中国の実質経済成長率が昨年の5.2%から今年は4.8%に、来年には4.5%に減速すると予想しながらも、アジア全体では今後加速すると見込んでいる。ADBの見立てでは中国