株式リターンが、たった一つのファクターによって説明されるなんて馬鹿げている、みたいな言説をしばしば見かけるのだが、実際のところトレイナーが何を予言したのか、この理屈が学校で教えられるようになった現在でも、誤解は極端に多い。 いつものように具体例を挙げたいわけだが、一年後に100円が返される予定のリスク証券について考えてみよう。もちろん予定は未定であって、100円は返されないかもしれない。あるいは50円だけ返されたり、それさえ延期されたりするかもしれない。なんだよ株の話じゃないのかよと思われる方もいるかもしれないが、この100円の部分を、例えば「来期の利益」に置き換える拡張は容易で、ご自身で後ほど試してみていただきたい。 さて、その一年後に100円が返されるリスク証券を、90円なら買ってもよいと考えたとする。言い換えれば、あなたはこのリスクに、10円の見返りを要求している。証券を発行する商売