本を読みながら生活をしていると面白いことが起きる。僕は普段、読む本を選ぶとき明確な理由があって選ぶことは少ない。ただ単に題名で惹かれたり、何かの本の中で引用されていたのが気になったり、自分の興味ある人が好きだと言っていたからだったり、そのくらい曖昧な理由で次に読む本を選んでいる。 それにも関わらず、「自分が今まで読んできた本たちには必然的な繋がりがあったのだ!」、とか、「自分がこういう本を読むということは、自分の過去の人生の経験から既に決まっていたのだ!」、とか、少し神秘的なことを思ってしまいたくなるような感覚が、突然どこからともなく降ってくることがある。 精神科医で精神病理学を専門としている加藤敏さんの人の絆の病理と再生―臨床哲学の展開はまさしく僕にそんな感覚を味あわせてくれた本である。特に第四章の『シモーヌ・ウェイユにおける摂食障碍と「無の思想」』を読んだ時にそんな感覚になった。この章