「女子は昔からスカートと決まっています。生徒から特に希望する声もありません」。記者は2020年10月、和歌山県内の公立高校(全日制)で、女子生徒の制服にスラックス(ズボン)を導入している学校がどれほどあるか調べた。結果は35校中18校でほぼ半数。冒頭の言葉は導入していない高校の教諭が発した言葉だ。断定口調がむしろ引っ掛かった。本当にそうなんですか? 「本来の自分出してよいのか」 取材の中で、ある中学生(15)と知り合った。 生まれた性は女性。しかし、幼少期から「自分が男の子なのか、女の子なのか分からなかった」という。男性と女性、二つの性が必ずしも自分に当てはまらない「複雑な心の性別」を感じてきた。 自身のことを「俺」と言ったり、脚を開いて座ったりしていると、周囲から「女の子なんだから」と立ち居振る舞いを注意された。納得できなかった。「うまく表現できないけれど、周りの大人の考える『女の子像』