クツコムシ(リチヌレイ)。カメルーンにて。 この生き物に、野生状態で遭遇する幸運に恵まれた日本人が、何人いるだろうか。俺にとっては下手すれば、サスライアリ以上の逸材。近年、虫を見つけて思わず声をあげ狂喜したことは数える程しかないが、これは、久しぶりに俺をそうせしめた者。 クモに近縁だが、クツコムシ目Ricinuleiという全く別の分類群に属する。体のつくりがとにかく他のクモガタ類とは根本的に違い、非常に異質な生物。眼らしいものはなく、第二歩脚が異様に長い。クモガタ類としては異例なことだが、オスのクツコムシは第三歩脚の先端に生殖器官を内包している。顕微鏡を使わないと見えないほどの小ささではあるが、非常に複雑かつ種特異的な形態をしている。 クツコムシはクモとは異なり、腹部に体節構造がしっかり残っている。また、背面から見ると体が昆虫のように頭、胸、腹と3分割しているように見える。これは、頭胸部の