問題の根源「統計職員」 厚生労働省が、賃金や労働時間を示す毎月勤労統計調査で「不適切な」調査を続けていたことが発覚した。 マスコミは「不適切」というが、筆者からみれば、統計法「違反の」調査である。前代未聞の不祥事であり、今国会でも大きな問題になるかもしれない。 そもそも筆者のように統計数字を使う者にとっては、この一件は許しがたい行為である。このコラムでも、厚労省の毎月勤労統計は何度か使ったことがある。この種の統計は、賃金の動向をみるには欠かせないものだ。 今回の「統計法違反」調査では、賃金水準が0.5%程度過小になっていたのだが、賃金伸び率などを使っていた筆者の分析には、幸いにも致命的な悪影響はなかった。過小水準でも、伸び率は正常水準と大きく変わらないからだ。 それでも、統計はすべての政策決定の前提であるので、今回のような不祥事はあってはならないことだ。そのうえで「なぜこんなことが起こった