「知事の実績になるような額にはならない」。10年ほど前、東京報道部の記者として沖縄関係予算を取材していた際、内閣府幹部が悪びれることなくこう漏らした ▼毎年、概算要求がある8月末を前に、県側は必要な額を積み上げて予算を要求する。だが、私が取材した3年、県側の要求額が満たされたことはなかった。一方、県選出国会議員の沖縄担当相肝いりの新規事業には予算措置された。首をかしげた ▼沖縄関係予算の目的は「自立的発展」だ。ひいては私たち県民のための予算のはずだが、政府の意向が優先されることがままある。県側の要望は二の次にされがちだ ▼その理由として、辺野古新基地建設に反対するなど、知事が国の安全保障政策に異を唱えることなどが挙げられる。だが、それは沖縄振興とは直接関係ない。知事の政治姿勢を理由に予算を削るなら、それこそ沖縄関係予算の政治利用だ ▼近年、社会資本整備などに使われる「ハード交付金」の減額が