特別寄稿 迫り来る令和「金融恐慌」/評論家 中野剛志氏 恐慌か、戦争か。邦銀によるレバレッジドローンの引受額は、米欧の金融機関をしのぐ水準。金融危機の火種はいくつもある。 2020年5月号 BUSINESS [恐慌か、戦争か] by 中野剛志(評論家) 新型コロナウイルスのパンデミックが世界経済にもたらしている大打撃は、1930年代の世界恐慌を想起させるのに十分である。3月20日、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、米国の失業率が30%と世界恐慌時を上回るかもしれないと指摘した。24日にはカーメン・ラインハート・ハーバード大学教授が、今回の経済危機を世界恐慌以来最悪と評し、短期的な回復は困難との見方を示した。実際、米国の失業保険の申請件数は、3月第3~4週の二週間で1千万件と過去最多となり、トランプ政権は、3月末、過去最大となる2兆ドル(220兆円)の景気刺激策を決定した。 他方で、恐慌