ドイツでは、福島事故が起きる以前から、市民のエネルギー問題に対する関心が日本よりもはるかに強かった。その理由の1つは、新聞やテレビ局、ニュース雑誌がエネルギー問題や環境問題を頻繁に取り上げたからである。たとえば、隣国フランスに比べると、この国のメディアでは、エネルギー問題や環境問題の占める比重がはるかに大きい。 ドイツ人ジャーナリストの視点の背景にあるのは、原子力およびエネルギー問題は、技術や経済の観点だけではなく、倫理的・文明論的な観点からも考えるべきだという立場である。この考えは、伝統的にリスク意識が強いドイツ社会では常識となっている。そのことは、メルケル首相が2011年の福島事故の直後に、原子炉安全委員会(RSK)だけではなく、哲学者や教会関係者からなる倫理委員会を設置してエネルギー政策について提言させたことにも表れている。
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