「電子書籍元年」と言われるが、本誌は現在の市場に危機感を持っている。従来の活字文化を継承する日本語電子ペーパー書籍体験という基本が出来ないうちに、1.5世代環境とも言うべきカラーLCDタブレットでの出版へと関心が誘導されているからである。これでは本も読書も進化するどころか、退化してしまう。本はデバイスやビジネスのためにあるわけではない。本と愛書家を無視した市場形成は、社会と出版文化をさらに縮退させる。 主役なき「電子書籍ブーム」 Kindle 2はE-Bookをマスマーケットとして確立した歴史的存在であり、その影響ははかり知れない。日本でも「衝撃」や「ショック」という本が何冊か書かれたほどだ。だがそれにしては、圧倒的な市場シェアを持つKindleの第3世代機の扱いは、呆れるほどに小さかった。市場の反応は小さいわけではない。最初の予約分はすぐに完売し、現在でも1ヵ月近く待たなければ入手できな