高橋葉介「闇姫さま」 (わらわは闇の王国の姫、目を閉じればそこはわらわの王国) (せっかくいい気持ちで押し入れで寝ておったのに、 わらわの母と称する酒場勤めの化け物が五月蝿い) (今から寝るから出てゆけ、と申しておるが逆らうと トンカチで殴られるから言うことを聞いてやるか) 母親に虐待されている、頬に傷のある女児が夏休みの街をとぼとぼ歩いている。 (あの時は耳からはみ出た脳みそを戻すのに往生したものじゃ) (あのトンカチはお守りがわりに首からぶら下げておるわ) (それにしても平民どもめらはなんと醜い姿をしておるのか) (わらわが闇の姫君だと誰も気づかぬ、愉快愉快) 女児は夏休みの小学校に着いた。 (ここは確かガッコウとかいう、平民の子息どもめらが読み書きを習う施設) (実はわらわも身分を隠してガッコウに通っておったが、大変なことになったわ) (愚民どもめら、わらわが闇の王国の姫だと知ると