ハンドソープがなくなったから、深夜営業のドラッグストアに買いに行く。 檸檬石鹸とか普通に売っててなんか懐かしいなーなんて思いながら、泡の詰め替え用がなかったので違う物を買って帰った。 その日から使い出したのだけど、なんだかそわそわしたような気になって落ち着かない。 特に、不都合があるわけじゃないのに。なんでだろうと思ってた。 しばらく使っていて、やっと思い当たった。 これは、おばあちゃんの家の石鹸と同じ匂いだと。 それから、そわそわした気持ちも理解できた。 おばあちゃんの家は、夏休みにいられる特別な場所だったからだ。 こんな風に思いがけず、懐かしいものに出会ってしまった。 大人になる途中に色々あって、あの場所は人手に渡ってしまい家は取り壊されて、今はもうない。 ハンドソープも使い終わり、今は普段通りに泡の詰め替え用を使っている。 それなのに、あの夏に一人だけかえってきてしまっている。