川原泉の作品がすばらしいのは、そこにほのぼのとした無償の愛があるからだ。夜中にパセリをつみに行くのも、白牛の男と逃げるのも、葡萄の精と子どもを救うのも、相手を支配したいがためではない。川原泉は、少女漫画の文法に従いながらも、相手を燃やしつくしかねない情熱的な恋を描くのではなく、女子高生があこがれの相手を想い、相手になにかしてあげたいとほんわかと願うような恋を描く。 美貌の果実 (白泉社文庫) 作者: 川原泉出版社/メーカー: 白泉社発売日: 1995/09/01メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 112回この商品を含むブログ (41件) を見る リアルの世界は、支配しようとする意思でいっぱいだ。「愛している」といいながら、自分の意思を相手に無理やりに通すことを「暴力」と呼びたい。愛だと口ではいいながら、愛の名のもとに相手を支配することは暴力意外のなにものでもない。安冨歩先生がハラスメ