著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly ) 訳 :堺屋七左衛門 この文章は Kevin Kelly による "What Books Will Become" の日本語訳である。 未来の本の姿 What Books Will Become 本は、読むのに1時間以上かかる自己完結した物語、論証、あるいは知識体系である。本は、発端と中間と結末をすべて包含するという意味で完全である。 昔は、本とは表紙と裏表紙にはさまれた印刷物であると定義されていた。電話帳には論理的な発端も中間も結末もないが、それでも本だった。白紙を重ねて綴じたものは、スケッチブックと呼ばれていた。恥ずかしげもなく空っぽだが、それには表紙と裏表紙があり、したがってブック(本)と呼ばれた。 今では、紙のページの本は消滅しつつある。そのかわりに残っているのは、本の概念的構造である。ある主題に沿った大量の文章があって、ある