リーアム・ニーソン主演のサスペンス映画『アンノウン』が、日本では今年の春に公開された。当初、『身元不明』という邦題が予定されていたが、東日本大震災の直後に不適切だと変更されたようだ。 映画は、植物学者のマーティンが、学会出席のために妻とベルリンにやってくるところから始まる。パスポートを空港に忘れたことに気づき、あわててタクシーで引き返す。しかし、途中で交通事故に遭って意識を失ってしまう。病院で目覚めた彼には記憶障害が出ているが、ようやく思い出してホテルに向かう。ホテルにいた妻は自分を知らないといい、その傍らには自分がマーティンだと名乗る別の男がいる。 気がつくと自分を見る周りの目が変わってしまっているというシチュエーションは、サスペンスの発端としてよく使われる。この手の話は、どのようにオチを付けるかで、鑑賞後の印象や評価が大きく変わってしまう。正直なところ、実は夢だったとか宇宙人の陰謀だっ