ものを見るのは視覚、音を聞くのは聴覚。ではにおいをかぐのは? それが嗅覚です。視覚や聴覚と比べると、それほど重要な働きをしていないような気もするけれど、においのインパクトって、なぜか強烈ですよね。それには理由があるようです。 皆さんは、ふと何かのにおいに接したとき、急に昔の記憶がよみがえってきた経験はないだろうか? 土や草、海辺の潮風、子どものころに食べたもの…。そんなにおいとともに、妙にリアルな記憶が、当時の情感そのままにわいてくる。 嗅覚以外の感覚、例えば視覚で故郷の風景を見たり、聴覚で昔のヒット曲を聞いたりして思い出に浸ることもあるけれど、嗅覚と結びついた記憶は特別に鮮明で、なんだかキュンとくる。そんな実感を持つ人は多いと思う。 こんな現象が実は、嗅覚という感覚の特性をよく表しているのだという。 嗅覚の情報は大脳へダイレクトに届く 嗅覚研究所代表の外崎肇一さんはこう話す。「嗅覚は、五
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