進化について学ぶにつれ、わたしが間違った理解をしていたことが分かってきた。それは、「生命は、微小サイズから複雑化し、運動能力と知性を備えた最終形態がヒトである」という理解のことだ。左から右に引かれた矢印に、微生物、植物、昆虫や動物、そしてヒトを並べたイメージに囚われて、「単純→複雑」「汎用→専門」といった方向に進むことを、「進化」だと思い込んでいたのかも。 そうではなく、現時点で生きているあらゆる生物は、進化の点からするとエリートなのだ。サイズやフォルムに違いはあるが、それは生き延びるために採った戦略の差異による。 たとえば微生物を「遅れた」「下等な」ものと見るのは誤りだ。生命誕生以来、最も長期間生きてきた微生物こそ、超エリートといえる。スゴ本『小さな巨人 微生物』は、この誤解を解くばかりでなく、その優秀さを見せつけてくれた。微生物とは、サイズを小さくすることによって、高い代謝活性と増殖能