一度お蔵入りになった映画化の背景――“30点”だった『ナウシカ』の評価 『もののけ姫』の原点は古い。1980年、宮崎はTVスペシャル用の企画案として『もののけ姫』のイメージボードを描いている。このイメージボードは、映画化企画として浮上した1993年末に絵本として出版されている。どうして出版されたかといえば、映画にするにしても、1980年代に描かれたこの内容のままではダメだということがはっきりしていたからだ。一度、形にして仕切り直そうとしたのである。 宮崎は同書に「最大の問題は、物語の世界が、従来の映画や民話からの借物であり過ぎる点でした。日本史や農耕文化史、大きな歴史観が劇的に変わりつつある時代に居あわせながら、その成果が少しも反映されていません」(※1)とこの初期設定版の弱点を記している。宮崎がこれから作ろうと考えている作品のベースたり得なかったのである。 宮崎はどのような作品をイメージ
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